子どもが自分の車を持つことになり、見積もりを取ってみて驚く家庭は少なくありません。初めての契約は原則6等級から始まり、運転歴の浅い年代は保険料も高くなるためです。そこで出てくるのが「親の等級を子どもに使えないか」という発想です。
結論から言えば可能ですが、条件とタイミングが決まっています。この記事では、誰に引き継げるのか、引き継いだあと親の車はどうなるのか、セカンドカー割引とは何が違うのかを、各社および日本損害保険協会の公式情報をもとに整理します。
本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。掲載している内容は各社および公的機関の公式情報をもとにしており、広告の有無によって解説の内容や掲載順を変えていません。
この記事の結論
- 引き継げるのは配偶者と同居の親族まで
血縁が近くても、別居していれば引き継げないのが一般的です。 - だから同居しているうちに決める
進学や就職で家を出たあとでは間に合いません。 - 引き継ぐと親は新規契約で入り直す
原則6等級、条件を満たせばセカンドカー割引で7等級です。 - 家族全体で安くなるとは限らない
子の下がり幅と親の上がり幅を、両方見積もって差し引きで判断します。
親の自動車保険の等級は子どもに引き継げる
等級を引き継ぐというのは、いまの契約の記名被保険者(主に運転する人)を子どもに変更し、子どもの車へ契約を移すことです。新しく契約を作るのではなく、既存の契約を動かします。
引き継げるのは配偶者と同居の親族
ソニー損保は「等級は、配偶者や同居の親族、配偶者の同居の親族にも引継げます」と説明しています。東京海上ダイレクトも、記名被保険者を次の人に変更する場合は等級・事故有係数適用期間とも引き継ぐとしています。
- 現在の記名被保険者の配偶者
- 現在の記名被保険者または配偶者の同居の親族
別居していると引き継げない
ソニー損保は「血縁関係が近くても、別居していれば等級を引継ぐことはできません」と明記しています。東京海上ダイレクトも、記名被保険者を別居している子どもに変更する場合は引き継がないとし、「別居の親族」への変更は原則として等級・事故有係数適用期間を引き継がないと注意を促しています。
| 変更後の記名被保険者 | 等級を引き継げるか |
|---|---|
| 配偶者(同居・別居を問わない) | 引き継げる |
| 同居の子 | 引き継げる |
| 同居の親・兄弟姉妹などの親族 | 引き継げる |
| 別居の子 | 原則として引き継げない |
| 別居の親族 | 原則として引き継げない |
| 友人・知人 | 引き継げない |
配偶者だけが別居でも引き継げる点が例外的です。子どもの場合は、同居しているかどうかがそのまま可否を分けます。
ただし例外の定めを置いている会社もあります。東京海上ダイレクトは、別居の子どもへの変更でも「新契約の等級が1〜5等級、または事故有係数適用期間が1〜6年」かつ「車検証の名義を変更しない」という2つの条件を満たす場合は、例外的に等級・事故有係数適用期間を引き継ぐとしています。これは割引ではなく割増になる等級から逃げられないようにする仕組みです。有利な等級を別居の子に移すための抜け道ではありません。
「同居」の判定は住まいの形で変わる
同居かどうかが可否を分けるため、判定の基準が問題になります。ソニー損保は、建物内部で行き来できる場合を同居として取り扱い、同一敷地内であっても別々の建物に居住している場合は別居として取り扱うと説明しています。
敷地内に子ども世帯の家を建てたケースは、感覚としては同居でも、取り扱いは別居になることがあるということです。基準は会社によって異なる可能性があるため、住まいの状況をそのまま伝えて、契約中の保険会社に判断してもらってください。
等級の引き継ぎはいつまでに手続きするか
進学や就職で家を出る前に決める
ここがこの記事でいちばん重要な点です。引き継げるのは同居している間だけなので、子どもが家を出てからでは間に合いません。大学進学で春から一人暮らし、就職で他県へ、といった予定があるなら、同居しているうちに車と保険の話を済ませておく必要があります。
後述するセカンドカー割引も「同居の親族」であることが条件です。同居が終わると、使える選択肢が2つとも消えます。
子どもの車の納車日に合わせて進める
- 1. 子どもの車の納車日を確認する
手続きの起点になります。 - 2. 引き継ぐかどうかを両方の見積もりで判断する
子どもの保険料と、親が入り直す場合の保険料を並べます。 - 3. 保険会社に連絡し、車両入替と記名被保険者の変更を申し出る
必要書類は会社によって違うため、その場で確認します。 - 4. 親の車の契約を同時に手配する
引き継いだ瞬間に親の車が無保険にならないようにします。
手続きに必要な書類や情報の一般的な内容は初めての自動車保険の必要書類・情報チェックリストで確認できます。
等級を引き継ぐと親の車の保険はどうなるか
等級は分けたり複製したりできません。子どもに渡せば、親の手元からは無くなります。親が車に乗り続けるなら、契約を入り直すことになります。
親は新規契約で入り直すことになる
日本損害保険協会は、初めて自動車保険を契約した場合は6等級に位置付けられると説明しています。同協会が示している等級別の割増引率は次のとおりです。
| 等級 | 割増引率(無事故) |
|---|---|
| 6等級 | −13% |
| 7等級 | −27% |
| 11等級 | −48% |
| 20等級 | −63% |
20等級の親が6等級に戻ると、割引率は大きく変わります。等級制度そのものの仕組みは初めての自動車保険は何等級から?6等級と7等級スタートの違いで解説しています。
親も車を持ち続けるならセカンドカー割引が使えることがある
2台目以降の車に初めて契約する場合、条件を満たせば6等級ではなく7等級から始められます。セカンドカー割引(複数所有新規契約)と呼ばれるもので、あいおいニッセイ同和損保とおとなの自動車保険が挙げている条件は次のとおりです。
- 1台目の契約の等級が11等級以上であること
- 新しい契約の記名被保険者が、1台目の記名被保険者・その配偶者・同居の親族のいずれかであること
- 車両所有者についても同様の範囲であること
- どちらの車も自家用8車種であること
- 所有者および記名被保険者が個人であること
おとなの自動車保険は、1台目の契約の保険期間内に2台目の保険始期日が含まれていることも条件に挙げています。ここでも「同居の親族」が条件です。細かな適用条件は会社によって違うため、契約する会社の記載を確認してください。
親が車を手放すなら中断証明書という選択肢がある
日本損害保険協会は、廃車・譲渡などでやむを得ず契約を中断する場合、一定の条件を満たせば中断後の新しい契約に等級を引き継げる制度(中断特則)があると説明しています。一般的に解約日から13か月以内(または5年以内など)に手続きが必要で、中断証明書発行依頼書、保険証券、抹消登録証明書などが必要です。親がしばらく車に乗らないなら、等級を子どもに渡さずに保管しておくという考え方もできます。
等級の引き継ぎとセカンドカー割引はどう違うか
混同されやすい2つですが、動くものが違います。引き継ぎは親の等級を子どもへ「移す」もの、セカンドカー割引は新しい契約の出発点を6等級から7等級へ「上げる」ものです。
| 選択肢 | 子どもの等級 | 親の等級 |
|---|---|---|
| 親の等級を引き継ぐ | 親の等級をそのまま | 新規6等級(条件を満たせば7等級) |
| セカンドカー割引を使う | 7等級 | いまの等級のまま |
| それぞれ新規で契約する | 6等級 | いまの等級のまま |
どちらが有利かは、親の等級が何等級か、親が車に乗り続けるか、子どもの保険料がいくらになるかで変わります。親の等級が高いほど、引き継ぎで失うものも大きくなります。
等級を引き継いでも家族全体で保険料が下がるとは限らない
子どもの下がり幅と親の上がり幅を差し引きで見る
引き継ぎは、家族の中で等級を移し替える手続きです。子どもの保険料は下がりますが、そのぶん親の保険料は上がります。家計全体で見て安くなるかどうかは、両方を計算しないとわかりません。
一般には、保険料が高くなりやすい若い子どもの側に高い等級を寄せたほうが、割引の効き方は大きくなります。ただし、親の車の車両保険の有無や補償内容によっては、想定より親の負担が増えることもあります。引き継ぐ場合と引き継がない場合の両方を、実際に見積もってから決めてください。この記事に金額の例を載せていないのは、条件によって結果が変わり、実際に取得した見積もりでなければ意味がないためです。
等級を引き継ぐときの注意点
事故の履歴も一緒に引き継がれる
引き継がれるのは等級だけではありません。東京海上ダイレクトは、記名被保険者の変更にあたって等級と事故有係数適用期間の両方を引き継ぐと説明しています。事故有係数適用期間が残っていれば、同じ等級でも割引率は低くなります。親が最近事故で保険を使っている場合は、引き継いだ側にその影響が付いてきます。
等級だけを目的に実態と違う申告をしない
記名被保険者は「その車を主に運転する人」です。等級を移すために、実際には親が主に使う車の記名被保険者を子どもにする、別居しているのに同居として申告する、といった対応をしてはいけません。日本損害保険協会は、保険会社間で等級関連情報を確認する仕組み(等級情報交換制度)があり、デメリット等級についても適切に継承されるよう情報が共有されていると説明しています。実態に合わない申告は、事故のときに補償を受けられない事態につながります。
判断の順序は、まず「その車を主に運転するのは誰か」。その結果として等級がどう動くかを確認する、という向きです。逆にしないでください。
親の自動車保険の等級の引き継ぎに関するよくある質問
まとめ
- 引き継げるのは配偶者と同居の親族
別居の子には原則として引き継げません。 - 同居しているうちに手続きする
セカンドカー割引も同居が条件です。 - 親は新規6等級、条件を満たせば7等級
車を手放すなら中断証明書という手もあります。 - 事故の履歴も一緒に動く
等級だけでなく事故有係数適用期間も引き継がれます。 - 判断は「主に運転するのは誰か」から
等級を目的に実態と違う申告をしないでください。
引き継ぐか、それぞれ新規で契約するかは、両方の金額を並べてはじめて判断できます。子どもの車の保険料の目安は18歳の自動車保険料相場はいくら?月々・軽自動車・普通車で比較、保険料を左右する条件は初めての自動車保険を安くする方法10選|削ってはいけない補償も解説で確認できます。
\ 引き継ぐ場合と引き継がない場合、両方の保険料を並べて確かめる /
公式情報の確認日と参照先
本記事の内容は2026年8月15日に以下の公式情報で確認しました。引き継ぎの取り扱い、同居の判定基準、セカンドカー割引の適用条件は保険会社によって異なります。手続きの前に、契約中の保険会社と重要事項説明書・約款をご確認ください。
- ソニー損保「等級は家族に引継げるの?」
- ソニー損保「同居の基準ってあるの?」
- 東京海上ダイレクト「等級制度や等級の引き継ぎに関するよくあるご質問」
- 日本損害保険協会 損害保険Q&A 問23「自動車保険の『等級』について教えてください。」
- あいおいニッセイ同和損保「【自動車】7S等級(セカンドカー割引)の適用条件を教えてください」
- おとなの自動車保険「セカンドカー割引(複数所有新規契約)とは?」
